眼球運動に着目した心理状態の推定

本研究は、人の目の動きに注目し、情動の変化を示す整理真理学的指標として、眼球運動が有効であるか どうかを示す客観的な証拠を得ることが目的である。ここでの情動とは緊張や集中を含む広い意味での気分 の変動という意味で用いる。

実験システムの概要をFig.1に示す。このシステムを用いることにより、眼球運動と合わせて、 従来生理心理学的指標として用いられた脈拍、呼吸、皮膚電気活動のデータを同時に計測できる。 これらの指標を計測することで、眼球運動との相関を調べることができる。

聞き取り難度の違うナレーションの聴取を行った。流れは、開始から無音状態60秒、ナレーション60秒、 無音状態30秒、ナレーション60秒、無音状態30秒、ナレーション60秒、無音状態30秒で終了する。 ナレーションの順番は英語、日本語、英語の順と英語、英語、日本語の順のパターンで行った。

実験で得られた眼球運動をFig.2に示す。これは日本語と英語の聴覚刺激が提示された時の、左眼水平方向の 計測データである。日本語聴取時と、英語聴取時で明らかに計測データの波形が異なり、日本語聴取時では 英語聴取時よりも振幅が大きく、動きが激しいことが見て取れた。

刺激の内容により眼球運動の特徴に傾向があることが分かった。刺激の聞き取り難度によって、 被験者に緊張や集中が生じた事が眼球運動に影響したと考えられる。

発表文献

電気通信大学 大学院情報システム学研究科 情報メディアシステム学専攻 人間情報学講座 阪口研究室
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