複雑な運動タスク(お手玉)における視線の動き

本研究は,「脳は運動制御においてどのようにして視覚情報を利用しているのか」という問題意識のもと,お手玉(ジャグリング)という運動スキルを対象とし,視覚と運動制御の関係に注目した実験を行った.

実験内容とその結果について記す
・運動中の眼球運動の測定:運動中の被験者がどこに視線を向けているかを調べることで,どのようにして視覚情報を得ているのかを探った.
 結果:玉が頂点にさしかかった時と,その180msec前および200msec後の3箇所でサッカードが起きていることが分かった.

・受け取り時の腕の動きの測定:「運動制御に必要な情報をいつ感覚器から得ているのか」という問題の手がかりとして,投げ上げた玉を受け取るために受け手が動き始める時間を調べた.
 結果:投げ上げた玉に対して,受け手が玉の落下位置に移動し始めるのは,玉の軌道が頂点にさしかかってから約100msec〜180msecであった.

・視覚情報の制限が球受取誤差に与える影響:運動中の視覚情報を制限することで,玉の受取動作に与える影響を調べた.
 結果:上級者は少ない視覚情報でも,制度の高い運動を行うことが出来きることが分かった.また,お手玉運動において,両眼立体視が特に重要な役割を果たしていることを示す結果を得た.

これらの実験から,お手玉の運動制御において視覚が一定の役割(主に運動の誤差修正)を果たしていることを示す結果が得られた.
今後は,

発表文献

電気通信大学 大学院情報システム学研究科 情報メディアシステム学専攻 人間情報学講座 阪口研究室
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