#norelated

[[バイオリンのはなし>jViolin]]

*楽器と弓の持ち方(その5)

更新がしばらく滞ってしまっていた.別に練習をやめてしまったわけでもなく,日々の気づきがなくなったわけでもない.ただし,日々の気づきを文章で表現することがだんだん難しくなってきたような感じはする.

「楽器と弓の持ち方」というタイトルで記事を書くのはこれで5回目である.これは,私の理解が遅いことを意味しているだけでなく,楽器の持ち方がいかに深い問題であるかを表しているといってよいだろう.これは,本質的には,ヒトの身体の自由度が大きいことに起因していると思う.つまり,弓を握り,また,動かすことに関わる骨や筋が多数にわたっていて,どれをどのように制御するのかという自由度の幅が非常に大きいことに理由があるのだろう.

**''右手の柔軟性''
[[ひじの動きの感覚>jViolin/Q022]]にも書いてあるが,弓をもつ右手や右手首が力んでしまわないことはとても重要である.うまく弓が使えないと,何とか弓を操ろうとして右手だけで弓をコントロールしてしまおうとしてしまうが,そうすると,必ず右手首がかたくなって右手の柔軟性を失ってしまう.右手は非常に複雑な緩衝器であり,その一部が固くなるだけで弦にふれる弓の特性が大きく変わってしまうようだ.

右手の柔軟性に関してなかなか身につかないのが第三関節(指の付け根の関節:DIP関節)の動きである.手の力を抜けば,手は軽く握る状態に近づくのが通常であろう.これは,脱力した状態でDIP関節は屈曲していることを示している.そして,手を広げれば,DIP関節は180度に開いてまっすぐな状態になる.したがって,DIP関節はまっすぐな状態から屈曲側に曲がった状態までの範囲で使うのが普通の状態であるといえるだろう.

しかし,左手で右手の指を軽く押してみればわかるように,DIP関節は180度以上に開くこと,つまり,伸展させることも可能である.そして,バイオリンの弓を持つときは,この関節をまさに屈曲側から伸展側まで広く柔らかく使うことが求められるのである.電車のパンタグラフが伸び縮みする感じとでもいえばよいのだろうか,この関節の柔らかさを使うことで弓の上下方向の動きを吸収するのである.

上にも書いたように,普段の生活でDIP関節を伸展側に曲げて使うことはあまりないので,このような関節の動きは経験によって身に着けていくのであろう.

この関節だけでなく,手を構成する様々な関節が柔らかいばねのように機能するのが理想的なのであろう.実際,バイオリンやチェロの名手の手は非常に柔らかいらしい.

**''腕の重み''



**指のバランス