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#norelated

[[バイオリンのはなし>jViolin]]

*楽器と弓の持ち方(その4)

「楽器と弓の持ち方」というタイトルで記事を書くのはこれで4回目である.これは,自分の楽器の持ち方がいまだに完成していない(というか,間違っている)ことを如実に表しているとともに,やはり楽器の持ち方が安定した演奏をする上で重要であることを示していると思う.

第1ポジションでだいたい弾けるようになってくると,次はポジション移動,そして,ビブラートと左手の位置を動かす操作が必要になってくる.この段階になって,自分の左手の持ち方が根本的に間違っていることがわかってきた.

**左手の親指の位置
**''人差し指の付け根の問題''

[[前回>]]のエッセイでは,左手の親指に力が入っていると左手が自由に動かないことを書いた.,
まず楽器の持ち方であるが,いまになって考えてみると,親指の使い方が重要であるような気がしている.というのも,親指の関与の仕方が習い始めのころと大きく変わったからである.
[[前回>jViolin/Q018]]のエッセイでは,左手の親指で楽器を支えてしまうと左手が自由に動かないこと,親指の代わりに人差し指の付け根で楽器を支えている感じがあることを述べている.しかし,実はこのことが根本的な誤りであったのである.

最初のころは,楽器を落としてしまうのが怖く,左手の親指と人差し指の付け根あたりではさむように楽器を支えていたように思う.このころは,弦を押さえる指の力に対抗して楽器を支えるために,親指と掌で挟むようにしていたのではないだろうか(もはや昔の上体は記憶があいまいになっている).このように親指に余計な力が入っていると,他の指の動きの自由を奪ってしまう.しばらく,4の指(小指)を伸ばして押さえるのがうまくいかず苦労していたのだが,それはそのせいだったのかもしれない.
ビブラートをかけるときことをイメージしてほしい.ビブラートをかけるときは,弦を抑える指先を支点にして左手を震わせるのであるが,このとき,人差し指が楽器を支えていたのでは左を自由に動かすことはできない.つまり,人差し指の付け根あたりは楽器から自由になっていなくてはいけないのである.実際,左手の指は「卵をつかむように丸く」という指導があるが,指を丸く保つには人差し指は楽器から離れていなくてはいけない.

しかし,あるときに,4の指を伸ばして押さえることが以前ほど辛くなくなっていることにふと気づいた.このときは,左手の持ち方を意識的に変えようとしたのではなく,あるときに気付くとそうなっていたという感じであった.このときに左手の様子を見てみると,親指の関与の仕方が以前と違っていたのである.すなわち,親指が「つまむ」ようにして関わるのではなく,むしろ,親指をそらせてその腹あるいは側面で楽器を横から支えるようにして持っていたのであった.あるいは,楽器を支えるうえで親指はもはや重要ではなく,むしろ人差し指の付け根あたりが中心的な役割をするようになっていたといってもよいかもしれない.つまり,はさんで持つのではなく,指の付け根あたりで支えるという形でもつようになっていたわけである.
**''親指の位置''
このことに気付いたきっかけは,レッスンを受けている際に,先生から「左手の親指の位置がおかしい」と指摘されたことである.そして,この日のその後のレッスンは時間中ずっと楽器の持ち方の指導になった.

**弓の持ち方
親指の位置がおかしいというのは,より具体的には「E線を引くときに親指が指板の上に出ている」ということである.レッスンが終わったあとに冷静に考えてみると,親指が上に出ているということは,親指が「上側から」楽器を支えていることを意味している.本来は,親指は弦を抑える他の4本の指に対向する形で機能するべきであるから,親指は「下側から」楽器を支えていなくてはいけない.親指が上側に出て,楽器を下側から支える役割を放棄しているとすると,親指の代わりに楽器を支えている部分がなければならない.そして,これは人差し指の付け根がやっていたというわけである.

もう一つは右手の弓の持ち方である.弓の持ち方は以前にも何度か書いているが,最初のころは中指と親指でつまむようにしてもっていた.当然,弓を「持っている」ので,それをもつのに力がはいってしまう.力が入れば身体のしなやかさが失われ,右手の動きを阻害してしまう.
E線は一番右側にある絃であり,その分,左手は指板から離れる方向に位置するはずであるから,このときに人差し指の付け根が楽器についているために親指が上に出ていることが顕著になる.このことが,E線を弾いているときにこの問題が発覚した原因だと思う(文章で説明するのは難しい).

しかし,最近になってようやく右手の力が入らないようになってきた.そこで,あらためて右手の様子を観察してみると,中指でもつというよりは,薬指と小指で包むようにしてもっているような感覚になっていた.たしかに,弓の重みの多くは親指の先で支えているのであろうが,弓の動きをコントロールしているのは薬指周辺という感覚である.小指が弓の重み(回転モーメント)に対抗する役割をしていることはいろいろな本に書いてあるが,でも,弾いている最中に小指ががんばっている意識は以前と比べると薄くなった気がする.
結局のところ,ポジション移動をスムーズに行なうには,親指を4本の指で指板を包むように触れて,それを平行移動させることが必要である.この「平行移動できる」イメージがもてるように,楽器の持ち方を変えることになった.

さらに上達するとまた感じ方が変わるかもしれないが,今の感覚はこんな感じである.
**''姿勢の問題''
さて,頭の中で理屈はわかっても,これを実際に実行することは難しい.特に,今回は長いあいだの癖がついてしまっていたので,それを壊して新しい持ち方に変えるのには苦労している(現在も修正中である).特に,平行移動させるイメージを先にもって,E線だけで弾いているだけならば(あるいは,E線から他の絃に移動するのであれば)問題がないのであるが,音階練習(特にアルペジオ)など,他の絃から移動して弾く場合などは,以前からのイメージが身体にしみついていて,なかなか望ましい指の形にならない.

それ以上に