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[[jViolin]]

 しばらく慣れてくると,指の押さえ方や音の出し方には気がまわるものの楽器や弓の持ち方などについてはあまり気が回らなくなる.しかし,実はこの基本的な部分が重要なようである.

 まず,楽器の持ち方であるが,あとになって考えてみると,親指のつかみ方が大事であると思うようになった.最初のころは,楽器を落としてしまうのが怖いので,左手では,親指と人差し指の付け根あたりではさむようにもっていたように思う.このころは,弦を抑える指の力に対抗するために楽器をどうやって支えるかということで,親指をつまむように使って楽器をつかんでいた..すると,当然のことながら,指に余計な力が入っているので,絃を押さえる指の自由を奪ってしまう.このため,特に4の指(小指)を伸ばして弦を抑えることがうまくいかず,苦労していた.

 しかし,あるころから4の指を伸ばすことが以前ほど辛くなくなっていることにふと気づいた.このときは,左手の持ち方を特に変えようとした結果としてではなく,あるときに気付くとそうなっていたという感じであった.このときに左手の様子を見てみると,親指の働きが以前と違っていたのである.このときにはもはや親指をつまむようにして持つのではなく,むしろ,親指をそらせてその腹あるいはその側面で楽器を支えるようにして持っていたのであった.より具体的にいえば,親指の横と人差し指の付け根あたりで支えるようにして楽器をもっていた.つまり,はさんでつかむというのではなく,下から思いや圧を支えるという形でもつようになっていたわけである.

 もう一つは右手の弓の持ち方である.弓の持ち方は以前にも書いたが,最初のころは中指と親指でつまむようにしてもっていた.当然,弓を「持っている」ので,それをもつのに力がはいってしまう.力が入れば身体のしなやかさが失われ,それが右手の動きを阻害してしまう.

 しかし,そのうちに右手の力が入らないようになってきた.そこで,あらためて右手の様子を観察してみると,中指でもつというよりは,薬指と小指で包むようにしてもっているようになっていた.たしかに,指の重みの多くは親指で支えるのであろうが,弓の動きをコントロールしているのは薬指周辺という感覚である.小指が弓が回転しまわなように押さえる役割をしていることはいろいろな本に書いてあるが,でも,弾いている最中に小指ががんばって意識は以前と比べると薄くなった気がする.

 また,上達すると感じ方が変わるかもしれないが,今の感覚はこんな感じである.