バイオリンのはなし

楽器のこと

楽器を替える

 バイオリンの習い始めてからずっと楽器は教室から借りたものを使ってきた.私の通っている教室は良心的な教室で,生徒が使っていた中古の楽器を買い上げて,それを新しい生徒に安価で貸し出してくれる.初心者が最初に買う程度の安価な楽器(セットで5万円程度のもの)は中古に出しても値段がつかないので,いくらかの値段でも買い取ってもらえると助かる.先生からは「自分の楽器を買った方が愛着が湧いていろいろな意味でよい効果がある」と言われていて秋口あたりに買おうかと考えていた一方,「自分の楽器を買うのはまだ早い」という感じがしていてどうしようかと思っていたところであった.

 そんなときに,私がバイオリンを習い始めたことを知った親戚から「古い楽器を譲りましょうか」という話があり,渡りに船ということでそれを頂戴することにした.その楽器は,その親戚が学生時代に使っていたもので,新しい楽器を買ったのでそれを使うことはもうないというだった.

 楽器工房で整備してもらったものを8月の半ばに受け取ったところ,1978年製の鈴木の楽器であることがわかった.鈴木というのは日本のバイオリンメーカで,初心者はだいたいこのメーカのセット品を使って練習を始める.私が教室から借りていたのもこのメーカの楽器であるが,親戚から譲り受けた楽器は,教室で借りていたものよりも上位のクラスのもので音がよく響くので,さっそくこの楽器を使って練習を始めている.  

弦と弓

 以前肩当てのメモを書いたが,バイオリンのパーツにはいろいろなものがあり,弦や弓がその主要な役者である.

 弦には,スチール,ナイロン,ガットが主な種類であるが,いろいろなメーカからいろいろな種類の弦が発売されている.初心者には何がよいのかよくわからないが,譲ってもらった楽器には,ドミナントという最もメジャーな弦が張ってあった(新しい先生もこの弦を使っているとのことだった).ただ,ドミナントという弦はE線は評判が芳しくなく,ほとんどの演奏者がE線だけは別ブランドの弦を張っているそうで,実際私が譲りうけた楽器もE線だけは別ブランドのものであった.ただ,ドミナントは耐久性がやや弱く高々数か月で張り替えないといけないようなので,次回からは同じ会社のビジョンという弦を使うつもりである.

 弓については,思い切ってギャンブルをしてみた.というのは,円高を利用して米国からカーボンファイバ製の弓をamazon.comで注文して買ってみたのである.弓は通常,木製のスティックに馬の毛を張ってあるが,スティックの材質としてベルナンブコという種類の材料を使ったものが良いといわれている.スティックには「軽くて弾性が強い」性質が要求されるが,それを満たすものとして,最近カーボンファイバを使った弓が作られるようになった.最初に習っていた先生は「同僚にはセカンド弓としてカーボンファイバ製の弓をもっている人が多いが,自分は木製の楽器を鳴らすにはやはり木製の弓を使いたい」とおっしゃっていたので,カーボンファイバ製の弓は視野には入っていなかったのだが,最近の円高で国内価格の半額程度の値段で米国から弓を買えることがわかったことと,実物を見ないで通信販売で手にいれるのであれば,個体ごとのばらつきがある木製のものではなく工業製品として作られたカーボン弓の方が安全であると考えて,思い切ってカーボン弓を買うことにした.

この弓はCoda Bowという会社のDiamond SXというもので,NX, SX, GXと3種類あるDiamondシリーズでは「中」のものである.評判をインターネットで見てみると最も安価なNXはよくないようなので,SXを選んだ.これは日本国内での定価は税抜きで10万円,値引きしている店でも8万円はする初心者には高価な弓であるが,amazon.comで見ると500ドルを少し超える値段で,送料を加えても550ドル程度である.1ドル77円の計算で42000円,まさに半額で手に入るわけである.

注文して10日間ほどで到着して,さっそく試してみたのであるが,これまで使ってきた弓に比べると断然使いやすい.もちろんもっとよい弓はいくらでもあるのであろうが,少なくともいまのレベルの自分にはこれで十分である.