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[[バイオリンのはなし>jViolin]]

*スラーを弾く

(現在執筆中)

**スラー
**''スラー''
 スラーというのは,二つ以上を音符を一弓で弾く(一音ずつ弓の方向を変えないで弾く)ことである.今回の練習からスラーの入った曲や,スラーを付けた音階の練習を始めてまた悪戦苦闘している.

 難しいことは二つある.一つは右手と左手の動きのリズムの違いである.つまり,左手は一音ずつ指を変えるのに対して,右手は二つの音を続けて滑らかに(途中に何事もなかったように一様に)弾かなくてはならないことである.左手の動きが楽な場合は右手への影響はそれほど大きくないが,4の指を使ったり音が飛んでいたり移弦を伴っていたりすると,とたんに右手の動きがおかしくなる.

 もう一つは弓を送る量である.音符ごとに長さが違う音が含まれていて,かつスラーで二音を一弓で弾かなければならない場合,一つ一つの音に対してどれくらいの長さの弓を使うかをよく考えてひかないと,弓が足りなくなってしまう(長い音を鳴らしたいときに十分な弓を動きを使えなくなってしまう)のである.

 このようにうまくいかないことはいろいろあるのだが,この練習はある意味楽しい.というのは音型の変化と音のつながりを独立して取り扱うための一歩だと思えるからである.

**''スラーは難しい''
 上の項目を書いてから数か月してこの項目を書いているのであるが,いやはやスラーは難しい.運動研究という観点から見れば「左右の手の動きの干渉」ということなのかもしれないが,バイオリンでは右手が難しくなるとその影響が左手に現れ,左手がくずれてそれを直すのに必死になると右手の動きがおかしくなる.上にも書いたように,スラーでは右手の動きと左手の動きが同時に動かない.つまり,右手は二拍を一様に弓を送り続けるあいだに左手は二拍分以上の指の動きをこなす.よって,脳は一方で連続な運動(それもできるだけなめらかな動き)をしつつ,他方でそれを刻む動きをしなくてはならないことになる.

 これをこなすには,右手の処理と左手の処理をほぼ同時並行的に行う必要があるが,脳にとって二つの異なることを同時にこなすことは難しいようである.あくまで私見であるが,右手,あるいは左手の動きが習慣化して自動化することで,制御するのに必要な十分な情報処理資源が確保できるようになってはじめてスラーは弾けるようになるのであろう.

 そう考えると,ある日突然スラーが弾けるようになるということはなくて,「左手の音程が簡単な部分はスラーがうまく弾けるが難しい部分はうまく弾けない」といったことを繰り返すなかで,少しずつ右手の動きに気を配る余裕が出てくるということになるのであろう.そうなる日がいつ来るのかわからないが,あと1年くらいで弾けるようになるとうれしい.